「初心者における専用サーバーの扱い方・選び方」
GMOホスティング&テクノロジーズ株式会社 代表取締役 青山 満


ホームページの開設やメールアドレスの運用を独自ドメイン名で行なうことは、もはや企業にとって常識となった。そんな中、それらの運用を"よりeffectively(=効率的)"に、"よりSecure(=安全)"に運用するため、サーバーは、専門の業者(ホスティング事業者・ハウジング事業者)にアウトソースするのが主流となっている。
サーバーには大きく分けて2種類のサーバーがある。個人やSOHOなど、中小規模なサイトに最適な共用サーバー(個人やSOHO、小企業向け)と、より動的で大量の情報を有する、大規模で本格的な企業サイトに最適の専用サーバー(大中企業向け)である。

一般的に、共用サーバーは、低価格で技術的初心者でも利用可能な手軽さがメリットであると言われている。しかしその一方で、自由度が低く、カスタマイズが不可能であり、単一ドメインのみが収容可能といったデメリットがある。また、専用サーバーの場合、その広い自由度と複数ドメインの運用が可能などといったメリットがある一方で、価格が高く、高度で専門的な技術が必要などといったデメリットが挙げられる。
専用サーバーと言えば、「豊富なサーバー知識」や「コマンド入力によるサーバー管理能力」などが必要というような、難しいイメージがある。たしかに専用サーバーを利用してホームページを公開する場合、ホームページのコンテンツ管理だけではなく、サーバー自体の管理(セキュリティーアップデート作業等)も必要となる。万が一、そういったサーバー管理作業を怠ると、クラッキング(サーバーのっとり)被害に遭ってしまうことも珍しくはない。
しかし、こういった専用サーバーの現状を受けて、ホスティング(レンタルサーバー)業者では、様々な取り組みを行なっている。まず第1に、サーバー管理ツール(コントロールパネル)の簡素化である。今まで専用サーバーを運用したことのない技術的初心者でも対応可能な、簡易サーバー管理ツール(コントロールパネル)の提供である。SWsoft社<http://www.swsoft.co.jp/>のPLESKや、株式会社ホライズン・デジタル・エンタープライズ<http://www.hde.co.jp/>のHDE Controllerが代表的な例であり、ホスティング業者独自のものも提供されている状況である。この管理ツールを利用することにより、難しいコマンド操作を知らないユーザーでも容易に専用サーバーを利用することができる。第2に、クラッキングなどの被害から身を守る、マネージド(サーバー管理代行)サービスの提供である。これにより、24時間サーバー監視やセキュリティーアップデート代行などもアウトソースできる。このようなサーバー管理業務をアウトソースせずに怠ってしまった場合には、サーバーがクラッキングやハッキングの被害に遭い、フィッシングのサイトに利用されて知らぬ間に犯罪に巻き込まれてしまう可能もゼロではない。これら管理ツールとマネージドサービスの提供開始にともない、専用サーバー初心者でも、"よりeffectively(=効率的)"に、"よりSecure(=安全)"に、サーバー運用を行なうことが可能となる。
マネージドサービスの提供にともない、そのサービスの充実度とは別に、もう1つ着目すべき点がある。サーバーの最高権限であるroot(ルート)権限である。root(ルート)権限とは、OS(WindowsやLinuxなど)の全機能を利用できる管理者権限で、これがあればOSの設定、ソフトのインストールなど含め全ての設定変更が可能となる。しかし、ホスティング業者によっては、このroot権限をホスティング業者自身が管理しており、自由度の高い専用サーバーのメリットが低下しているケースがある。したがって、ホスティング業者の提供する専用サーバーを利用する際には、ユーザーへのroot権限付与にも着目すべきであるといえる。それに加えて、汎用性の高い専用サーバーの可能性を広げるオプションのラインアップも重要である。
以上のような、ツールや機能の充実且つ効率化とともに、サービス価格の低価格化も進んでおり、これまで価格や技術面で専用サーバーを敬遠していたユーザーにとって、"簡単・便利・安全"に、専用サーバーを運用することができる時代になったといえる。