2009年1月9日

JAIPAと東・西NTT間において行なわれているNGNにおけるIPv6インターネット接続サービスの提供方法に関する協議の途中経過について
  1. 2008年2月に認可された東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下、東・西NTTまたはNTT東西と表記、表記の違いは引用している原資料の違いによる)のNGNについては、ISPとの接続においてマルチプレフィックス問題等の解決すべき課題があり、「次世代ネットワークに係る技術的要件については、可能な限り国際的な標準化動向と整合的なものとなるよう努めるとともに、IPv4からIPv6への移行に伴う諸課題について、ISP事業者等との積極的な協議を行うこと。(認可の条件)」とされた。
     
  2. また、2008年4月に開催された総務省の「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」第4回会合において提示された最終報告書案において、「2008年夏までにリーチャビリティとコネクティビティの接続方法について基本的な合意を得るべく、早急に共同検討を開始する」との指摘がなされた。
     
  3. さらに同調査研究会において、JAIPAより次の3つの案が技術的実現可能性を有するものとして提示した。
    [案1]ISPがNGNを使いトンネル方式でIPv6インターネット接続を提供する方式
    [案2]NTT東西がトンネルを提供し、ISPがIPv6インターネット接続を提供する方式
    [案3]ISPがNGNへIPv6インターネット接続をアウトソースする方式
     
  4. こうした状況の中、2008年4月から東・西NTTとJAIPAとの協議が開始された(4月〜8月:10回開催)。
     
  5. インターネット政策懇談会IPv6移行とISP等の事業展開に関するWG第4回(8月25日)において、次のとおり報告を行った。

    【JAIPA】
    • ISPが事業継続可能なものでなくてはならないと考えている。案3ではISPとしての事業継続性に重大な懸念が生じる。現に殆どのISPがこの方式に反対を表明している。
    • ISPの独自性及びユーザの選択性を確保するため、また、ほぼ従来通りの接続が出来る案2を主張する声が大勢を占める。従って特に反対されていない案2を中心に検討を進めたい。また、既に案1の方式で機材発注等進めている事業者もいるためこの方式についても情報交換を進めていきたい。
    • NTT東西とJAIPAは技術検討結果とサービス提供条件の摺り合わせとまとめを12月末までに実施する。スケジュールについては別途NTT東西殿と調整を行い明確化する。
    • 案1〜3は元々まずは技術的方策として提案したものであり、実現に向けた検討についてはスケジュールに余裕がない中、年末の方式決定に向けて間に合うよう、まずは案2について検討を開始する。この他の案については保険としての可能性もあることから、別途検討を行うのが良いと考える。

    【NTT東】

    • JAIPA殿から、案1〜案3の仕様等に関する具体的なご要望を明確にしていただき一定の前提条件を確定したうえで、各案に対する詳細な技術検討を実施する。
    • これら技術検討の結果として、今年中にISP殿が実現方式を確定できるよう進めていきたい。
    • 技術的な検討以外においても、コスト負担のあり方やIPv6への移行方法、運用等の課題解決に向けて、JAIPA殿と協力して引き続き協議を深めていくこととする。
       
  6. また、インターネット政策懇談会IPv6移行とISP等の事業展開に関するWG第6回(10月2日)において、JAIPAと東・西NTTより、NTT−NGN上におけるIPv6インターネット接続サービス実現方式確定に向けたスケジュールを報告するとともに、WGからは以下のような考え方が提示された。
     
    • 接続方式の決定にあたっては、当事者(東・西NTT/ISP事業者)は、次の(1)から(4)に配意することが必要であると考えられる。
         
      (1)  ISPサービスが適切な料金により安心・安全かつ安定的に提供されること
      (2)  接続に要するコストが関係者間において適切に分担されること
      (3)  ブロードバンド市場におけるレイヤー内・レイヤー間の公正な競争及び新事業創出の機会が確保されること
      (4) (1)から(3)の事項については、短期的のみならず、中・長期的な視点も考慮して判断されること
         
    • 当事者は、接続方式を決定するにあたって配意した上記(1)から(4)について、その内容を利用者等の関係者に対して適時適切に説明することが求められると考えられる。
    • JAIPAと東・西NTTとの間の協議内容については、JAIPAに加入していないISP等の関係者が参考にできるように、協議中の段階を含め、積極的に公表されることが求められると考えられる。
    • 以上が適切に踏まえられることを前提とすれば、現在までの議論の対象となっている3つの案(案1、案2及び案3)を含め、どのような接続方式を採用するか(複数の案を同時に採用する場合も含む)については、基本的には当事者に委ねることが適当であると考えられる。
    • ただし、案3については、ブロードバンド市場に対する東・西NTTの関与を大幅に拡大する可能性があり、公正な競争の確保の観点から、政府は必要に応じ適切な対応を行うことが求められる。
       
  7. 1〜6については、インターネット政策懇談会第7回(10月24日)において、「インターネット政策懇談会IPv6移行とISP等の事業展開に関するWG取りまとめ」の中で公表された。
     
  8. これに基づき、JAIPAと東・西NTTの両当事者は12月まで毎月約2回以上のペースで協議を行なってきた(9月〜12月:10回開催) が、まだ実現方式の確定には至っていない。しかしながら、本年4月にISPが東・西NTTに対し接続申込ができるよう、1月末までには実現方式を確定し、公表できるよう今後とも努力を継続している状況である。
     
  9. 以上、途中の段階ではあるが、当初の実現方式確定予定期限である2008年12月を過ぎたため、現在の状況について公表するものである。

以上

   
Copyright(C)2009, Japan Internet Providers Association. All Rights Reserved.