インターネット上の違法・有害情報対策セミナー 過去~未来 (沖縄)
日本の第一人者に聞く
インターネット上の違法・有害情報対策セミナー 過去~未来
~児童ポルノ対策を中心に~
この二日間であなたもエキスパート!
携帯電話のフィルタリングを始め、この5年ほどでたくさんの違法有害情報対策が日本で実施されてきました。最近ではスマートフォンの急速な普及を受けて、その対応策も検討され実施に移されつつあります。その中でも「児童ポルノサイトブロッキング」は、いわばパンドラの箱を開けてしまった形で導入され、早2年近くが経過しようとしています。このブロッキング導入の是非について、そのポリシーや精神面、法律面、技術面等、様々な分野で何度も議論されてきました。しかし、実際の所ブロッキングするのはどうしてなのか。児童ポルノは違法だと聞くが言葉だけで、実際にどういうものなのか。また、どういった議論を経てブロッキングが実施されだしたのか。そういう疑問への情報もあまり無いままに、ブロッキングの導入促進だけが大きく事業者に伝えられております。
「フィルタリングとブロッキングって何が違うの?」
「何故、ISPが官民一体となった対策に応じることになったのか?」
「ブロッキングが可能なサイトとは何か?」
「中小ISPにおけるコスト負担はどのように考えれば良いのか?」
「国や行政の考えは?」
「ブロッキング以外の手段はないのか?」
「ブロッキングによる弊害はないのか?表現の自由との関係は大丈夫なのか?」
「実際にブロッキングは有効なのか?」
上記のような疑問・疑念が各方面から聞こえて来ます。また、児童ポルノ以外の有害情報やプライバシーはどうなのか。特にスマートフォンへの対応などについては、プライバシーデータの漏洩事件が多発し、大きな問題になる状況が増加しつつあります。
そこで、今回のセミナーでは、主に児童ポルノ犯罪の事例やそれらの具体的な解説をはじめ、児童ポルノサイトブロッキングをすることになった経緯を整理して、実際の政策、法的解釈、技術的対応を解説します。
また、1日目の意見交換会、2日目のPublic Forumでは、それぞれの立ち位置を取り払い、講師諸氏と参加者の方々で活発な意見交換・情報交換をして頂き、この場所に参加し「なるほど、こういうことだったのか」と言うことを伝えられるセミナーに出来ればと考えております。
なお、このセミナーは事業者向けではありますが、一般の方々にとっても理解しておいて頂きたい重要な事項も多く含まれておりますので、ご興味のある方はぜひご参加いただければ幸いです。
プログラム:タイムスケジュール、講師については、若干変更があるかもしれませんので、予めご了承ください。(1/25現在)
インターネット上の違法・有害情報対策セミナー 過去~未来 | |
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日時 | 2013年1月31日(木)13:00~18:00(その後意見交換会) 2月1日(金)10:00~18:00 |
場所 | 沖縄県市町村自治会館 〒900-0029 沖縄県那覇市旭町116-37 TEL.098-862-8181 http://www.okinawa-jichikaikan.com/access.html |
主催 | 社団法人日本インターネットプロバイダー協会 IGF-Japan ブロッキングに関する情報共有プロジェクト <プロジェクト参加組織> 安心ネットづくり促進協議会、一般社団法人テレコムサービス協会 社団法人日本インターネットプロバイダー協会、 社団法人電気通信事業者協会、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟、 一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会 |
共催 | NTTコミュニケーションズ株式会社 |
後援 | 特定非営利活動法人フロム沖縄推進機構 国立大学法人琉球大学(申請中) 沖縄県情報産業振興公社(申請中) |
参加費 | 無料 |
申込方法 | Webのフォームよりお申し込みください。 *フォームが表示されない場合がございます。 その際は、必要事項(社名、氏名、参加日、意見交換参加の有無をご記入の上、 JAIPA事務局(info@jaipa.or.jp)までメールにてお申し込みください。 *アドレスは半角にしてご送信下さい。 |
プログラム(予定) | タイムスケジュール、講師については、若干変更があるかもしれませんので、予めご了承ください。 |
「ブロッキングに関する情報共有プロジェクト」
総務省による『より精度の高いブロッキングに関する実証実験』でのISP意向調査において、特にユーザーに近い地域ISPは、ブロッキングの仕組みが判らない、全容が把握しにくい、コストに見合わないなどの意見が散見され、情報の一元化などの要望もありました。
ブロッキングに関する情報提供及び民間の自主的対応の必要性に関しては、各通信事業者団体などを通じて、情報取得や導入検討などを進めていただいていると思っておりましたが、これら意見を見る限り、十分浸透しているとは言い難い状況と思います。
これを踏まえ、先般、これまでのブロッキングに関する関係組織(下記のプロジェクト参加組織)が、今年度の実証実験の中で、ISPの意見・要望を吸い上げながらISP事業者のための情報共有に関するプロジェクトとして活動することになりました。
<プロジェクト参加組織>
・安心ネットづくり促進協議会
安心・安全なインターネット利用環境を整備することを目的として、利用者・産業界・教育関係者等が集まった国内唯一の組織です。
2009年よりブロッキングに関する専門部会を設置し、ブロッキング実施に伴って、生じ得る影響を幅広く考慮し、通信の秘密として本来守られるべきものが不当に害されることのないよう、また通信役務の円滑な提供という電気通信事業者の基本的な社会的責務の履行が妨げられることのないよう留意しつつ、児童ポルノ画像等という特に対策の必要性と緊急性の高い問題について、ブロッキングという特殊な対策を採りうるのかどうかを検討しました。
また、国民の重要な権利である通信の秘密に関して、広く理解を求めるための醸成活動として、醸成用映像も作成いたしました。映像URL
http://www.youtube.com/user/SaferInternetofJAPAN
・一般社団法人テレコムサービス協会
電気通信事業者および情報通信関連事業者を中心とする業界団体です。電気通信および情報通信関連事業の競争市場における健全な発展を図り、その事業全体の発展に寄与することを通し、国民利益の増進と公共の福祉に資することを目指している団体です。
・社団法人日本インターネットプロバイダー協会
インターネット利用の拡大に伴って、インターネットプロトコルをベースとした情報流通に関連する様々なサービスを提供するインターネットプロバイダー事業の社会的重要性が増大している状況にかんがみ、その専門的知識や事業運営等に関する能力の向上や意見の集約を図りつつ、関連事業分野とも連携を行うとともに、利用者のより良いインターネット利用を促進していくことにより、インターネットプロバイダー事業の健全な発展を確保し、もって高度情報通信ネットワーク社会の実現に寄与することを目的としています。
・社団法人電気通信事業者協会
ネットワーク回線設備を所有する電気通信事業者共通の課題への対処等を通じて、電気通信事業の健全な発展と国民の利便性向上に資することを目的に1987年に設立されました。通信の公共性にかんがみ、電気通信事業の健全な発展と電気通信役務の円滑な提供の確保により国民の利便の確保を図るとともに、電気通信事業者の共通の問題を処理することによって、公共の福祉の増進に資することを目的としています。
・一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟
ケーブルテレビの社会的使命にかんがみ、ケーブルテレビ事業を行う者の相互の啓発と協調によりケーブルテレビ倫理の向上を図るとともにケーブルテレビ事業者共通の問題を処理し及びケーブルテレビ事業の開発を行うことによりケーブルテレビの健全な発達普及を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的としている団体です。
・一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会
児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体として児童ポルノ画像が掲載されたサイトに係るアドレスリストの作成・管理を行うなど、インターネットを通じた違法コンテンツの流通を防止するために民間事業者等が講じる各種取組みを支援することにより、安全なインターネット環境の実現に寄与することを目的としています。
以上
「ネット上の違法有害情報対策セミナーin沖縄」(2013年1月31日~2月1日開催)について
どこの国においてもインターネット上の違法有害情報については、頭の痛い問題として日々大きくなっています。日本においても同様で、ここ数年特に青少年に対する違法有害情報対策は世界に先駆けて行われて来ました。
2007年12月10日、当時の増田総務大臣によって携帯キャリアに対し青少年の利用については、意思確認を行った上で原則フィルタリングを適用するよう要請が行われました。この事は当時大きくニュースとして取り扱われましたのでご存じの方も多いと思います。
実は、この一件がその後の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(以下ネット規制法)の制定へとつながり、その後一連の団体(安心ネットづくり促進協議会やEMA、ICSAなど)が発足する契機となりました。筆者の考えるところでは、そもそも2006年の国会(衆議院)における質問がその発端となっているように思われます。
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen29/8-siryou1.pdf
ここで、携帯電話のフィルタリングに関する質問が行われました。その後、インターネット上の有害情報対策(cf.違法情報は他の法律等により対応可能)、特に青少年に対応したものが急激に話題となり、かつ実装されていくようになります。
そしてネット規制法は2008年6月11日に可決成立するのですが、この法案の原案については日本の憲法を読んだことがないのかと思われるような内容が記されており、関係者の間でも大きな問題となりました。一つは「有害情報に関する例示」がされており、これは国が「表現の自由」を侵害しかねないものでした。また、事前通告なしにISP等への立ち入り検査を行うという「検閲」とも考えられる恐るべき法案がまさに審議されようとしている怖い法律だったのです。衆議院通過後も6月11日の参議院にて可決されるまで、付帯条項が付く付かない、またその内容がどういうものかを巡って関係者間で物議を醸しました。
法案そのものは何とかなったものの翌年の4月施行後3年での見直し規定が入っており、2012年に見直しがされましたが、特に改変されることなく現在に至っております。
その一方で、違法情報である児童ポルノサイトのブロッキングが大きな課題となりました。先のネット規制法の内容が一段落したその直後の2008年5月、読売新聞に「児童ポルノサイト対策としてブロッキング」が考えられていることが掲載されます。この件についてはISPのみならず違法有害情報対策を行ってきたものとっては寝耳に水で、ISPの担当者によっては、せっかくの連休を返上して対応に追われたとも聞いております。その後、安心ネットづくり促進協議会内にこの問題に関するWGが作られ、法的整理がなされ2010年6月にその報告が行われました。(詳細はこのセミナーにて解説いたします。) そして、その報告に基づいて2011年4月、ついに導入が始まり、「通信の秘密」の侵害をあえて乗り越えて対策がされております。しかし、この「ブロッキング」と「フィルタリング」。機能としてはよく似ているため、その差をはっきりと認識されている方は非常に少ないのではないかと思います。「ブロッキング」は「表現の自由」「国民の知る権利」および「通信の秘密」と大きく関わる深刻な問題であり、本来は国民的議論があってしかるべき課題だと思われるのですが、技術的にも理解が容易なことではないため大勢の議論を経ることなく導入されて来ました。これは、民主主義国日本のネットワークのいわば「パンドラの箱」だったのですが、この導入はその箱のふたを開けてしまったと言っても過言ではないと考えます。
今回のこのセミナーでは、特に意見交換会においてこの5年あまりに起こった一連の違法情報対策に関して、その実務に携わり、あるいは各種団体の設立用に関わった方その人にご参集頂き、普段聞くことの出来ない「裏話」等を語って頂く集いにしたいと考え企画した次第でございます。
よって、内容的には到底東京では開催できない、あるいはしても語れない内容も含まれることと期待しておりますので、是非ともこの機会にご参加頂きそれぞれの専門家に質問をぶつけるなどしてこの問題に関する理解を深めて頂き、今後日本としてこれら問題に対してどうしていくべきかを考え行動する糧として頂ければ幸いです。