第54回JAIPAの集いin山形(2022年10月13日~14日)レポート
□開催日:2022年10月13日(木)~14日(金)
□場所:タスパークホテル コンベンションホール
山形県長井市館町北6-27
□協力:日本・アルカディア・ネットワーク株式会社
□後援:長井市
山形新聞
5G・IoT・AIコンソーシアム
総務省東北総合通信局
山形県デジタルコンテンツ協議会
□参加者:119名
□開催概要:https://www.jaipa.or.jp/topics/2022/09/54jaipain.php
長井駅 |
会場 |
集いは初日14時30分から、JAIPA久保会長の挨拶から始まりました。次いで来賓として、地元長井市の内谷市長、総務省東北総合通信局の柳島局長の挨拶が続きました。
内谷市長からはコロナ禍になってから2020年にオンラインで成人式を行ったことがNHKのニュース7の全国ニュースで報道されたこと、デジタル人材の派遣で全国30の自治体のうちの一つに選ばれNTTから小倉氏が派遣されたこと、スマートシティ長井を昨年秋の地方創生の推進として採択され実証実験を行っていること、地方の課題は若い人がいなくなっていること、人口が減っていいて新生児の数が20年前の半分になっていることなどのお話をいただきました。
柳島局長は15年前に総務省総合通信基盤局のデータ通信課で企画官をされていた当時、IPv6の推進をされていてJAIPAとは日常的に関係があった方です。今はIPv6が基本になって使われていること、また、総務省が推進していたが普及しなかったテレワークがコロナ禍の中で一般的になったことをとりあげ、総務省将来に向かって行っていた活動が成果となったことなどを話されていました。
ここからは本番に入ります。
まず、14時50分から「スマートシティ長井実現に向けた取り組み」という題で、 山形県長井市 総合政策課 デジタル推進室長 小倉 圭氏の講演が行われました。小倉氏は東日本電信電話(株)経営企画部より派遣されている方で、週に1回長井市に来られているそうです。
次に15時40分から総務省 地域情報化アドバイザーをされている山形県デジタルコンテンツ協議会事務局 岩瀬義和氏より、「ビッグデータ活用からみえるもの~Wi-Fi_YAMAGATA活動から~」 と題して講演をいただきました。岩瀬氏は株式会社デジコンキューブという会社を山形で経営されている方で、工学博士でもあります。岩瀬さんからは山形県のWi-Fiアプリが全国、特に首都圏や名古屋圏などでダウンロードされ、そこから多数の人が山形県に来て、どういうところに行っているか、どういう経路で移動しているかのデータが示されました。これに対しJAIPAの立石副会長から、最近のプライバシー保護の動向からトラッキングデータを取得することについて利用者の違和感はないか、という質問もありました。
休息を挟み、16時30分からは今回のホストである日本アルカディア・ネットワーク株式会社(Jan)の黒澤社長から「地域に根ざすICT企業の責任と使命について」にという講演がありました。黒澤社長は鳩レースが趣味だそうで、興味深く聞きました。またおらんだラジオというコミュニティ放送について熱心に語ってくれました。「おらんだ」というのはオランダ国ではなく、この地方の方言で「俺たちの」というような意味なのだそうです。
その後、八雲法律事務所の山岡先生から「改正個人情報保護法」「ランサムウェアの現状と経営者責任」について講演をいただきました。メインは最近非常に多いランサムウェア(身代金を要求するマルウェア、コンピューターウイルス)の被害とその対応についてで、身代金と引き換えに暗号化したデータの解除や重要データをインターネット上で公開する被害を受けた時の状況を生々しくお話いただきました。こういう被害はどの会社にとっても他人事ではないので、聴衆はすべて非常に熱心に聞いていました。山岡先生は島根県のご出身で法律事務所の名前の八雲はそこからとったそうです。(八雲は出雲の国(現島根県)を和歌で詠むときの枕詞)山岡先生は弁護士資格を取ったのちアメリカの大学院ではコンピューターサイエンスを学ばれ資格をとられたそうで、頭脳明晰、法律とコンピューターに詳しい優秀な方と感じられました。
初日のセミナー参加者は98人でした。参加は東北地方のケーブルテレビ会社などJAIPA非会員も多くみられ、地方で開催した甲斐があった感じです。
初日の最後は懇親会で、同じタスパークホテルの隣の会場で開催されました。懇親会は久保会長の挨拶から始まり、来賓としてNTT東日本相互接続推進部の飯塚部長の挨拶がありました。参加者は65人で大いに盛り上がりました。締めは晋山常任理事でした。立食の懇親会はコロナ後初めてで、3年ぶりという感じです。タスパークホテルの料理長は首都圏の大手ホテルから来られたそうで、レベルの高いクオリティの料理を堪能しました。 NTT東日本さん、NTT西日本さんから前回同様、貴重な日本酒が提供され、またNTT山形支店の渡会支店長からも日本酒をいただきました。大好評のうちにあっという間になくなりました。
13日懇親会乾杯・黒澤社長 | |
ご提供いただいた貴重な日本酒 | |
お料理 |
初日は山形新聞が取材に来られ、集いの様子が翌日の朝刊12面に大きく記事が掲載されました。
2日目は10時から一般社団法人やまがたアルカディア観光局副理事長兼専務理事 鷲見孝氏から「観光と地域づくり」について講演いただきました。鷲見さんは岐阜県出身、サルバトーレフェラガモやヘルメスジャポンなどヨーロッパのブランドの会社に長年勤務され、イタリアにも6年在住、英語・フランス語・イタリア語が話せるそうですが、山形弁はそれ以上に難しい、山形に移住して5年たってもまだ地元の人同士の会話は7割しかわからないと話されていました。ここでアルカディアの語源ですが、明治時代のはじめ明治11年に日本を旅行したイギリスのイザベラ・バードという旅行作家が新潟県から山を越えて山形県に入ったとき、この地域を「東洋のアルカディア(桃源郷)」と呼んだことから、この地域をアルカディアと呼ぶようになったそうです。確かに美しい風景が各所にあります。
次は10時40分から新規入会会社紹介でまずはオンラインでTwilio Japan合同会社の正木氏、株式会社USEN NEWORKSの布施氏、ついで現地参加されているA10ネットワークス株式会社の柴山氏、エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社の小屋氏からそれぞれの会社のご紹介をいただきました。
Twilio Japan合同会社正木氏 |
株式会社USEN NEWORKSの布施氏 |
A10ネットワークス株式会社の柴山氏 |
エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社の小屋氏 |
その後、JAIPAの木村事務局長からプロバイダ責任制限法の改正への対応とJAIPAの活動紹介という簡単なプレゼンの後、ランチタイム休憩に入りました。
木村事務局長 |
JAIPAとは・・・ |
ランチ休憩の後、13時からNTT東日本 ビジネス開発本部・経営企画部無線ビジネス推進PT 担当部長 渡辺 憲一氏から「地域創生を加速するローカル5G/ギガらく5G」について紹介がありました。ローカル5G、登場した当初は非常にコストがかかるものと聞いていましたが、今回のお話を聞くと、非常に安くかつ手厚いサポートで導入できることが事例を交えて説明され、非常によく分かりました。
その後は13時50分から、総務省総合通信基盤局 データ通信課長 西潟暢央氏「固定ブロードバンドサービスの品質測定手法の確立に関する SWGの活動と2021年度実証実験の結果など」について講演いただきました。総務省が取り組んでいる実証実験の結果、今後の取り組みにつき西潟課長に詳細にご説明いただき、内容もISP関係者にとっては非常に関心が高いものですので、その場の参加者はとても熱心に聞いていました。
2日目の休憩時間にはホテルからのご厚意でコーヒーとチョコレート、飴が提供されました。ありがとうございました。
午後の休憩をはさんだ後、14時40分から株式会社インターネットイニシアティブ プロダクト本部長 兼 IoTビジネス事業部 副事業部長 兼 アグリ事業推進室 室長 齋藤 透氏から「通信事業者が本気で取り組むスマート農業、自治体と連携した取り組み」について講演がありました。IIJさんはISPの黎明期から活動される業界の超老舗です。齋藤さんは知る人ぞ知るIIJさんのZEILという自社開発ルーターを作っておられたそうで、水田の水位センサー開発の苦労やIoTを活用したスマート農業について熱く語ってくれました。
その後、15時20分から昨日に引き続き登壇された5G・IoT・AIコンソーシアム幹事でデジコンキューブ代表取締役社長 岩瀬義和氏から「5G・IoT・AIコンソーシアムについて」講演をいただきました。
16時頃からセイコーソリューションズ株式会社 平井沙耶香氏とNTTレゾナント株式会社 番匠麗奈氏からモバイル部会海外調査(シンガポール)について濃密な報告がみっちり行われ、JAIPAの集いの参加者も昔に比べれば若返った感じがしました。
さらに最後の休憩ののち、BBIX株式会社 福智道一氏をモデレータとし、株式会社NTTドコモ ネットワーク本部 サービス運営部 災害対策室 室長 塩野貴義氏、KDDI株式会社 運用管理部 副部長 毛利政之氏、ソフトバンク株式会社 ネットワーク運用本部 運用企画部長 杉本篤史氏の4名が壇上に上がって、「国民を守る生命線-大規模災害時の通信の在り方-」とう題でパネルディスカッションが行われました。このセッションには地元のさくらんぼテレビのカメラが取材に入りました。また、山形県庁デジタル推進課の室長も熱心に聞いておられました。このセッションは今回の集いのトリを飾るのにふさわしい内容のセッションで、この場所だけで行われるのがもったいない位貴重なものです。こういう内容は滅多に聞くことができないもので、残念ながらその場にいない人には紹介できませんが、公開可能の部分については翌日の夕方のローカルニュースでは長い時間を使って紹介されました。
2日目の参加者は91人でした。2日通しての参加者は延べ119人でした。
久保会長の閉会挨拶 |
2日目の懇親会はバスで移動して「はぎ苑」で着席でおこなわれました。ここでは「芋煮」をはじめとした地元の郷土料理が多数出されました。参加者は41人でした。
長井市は人口2万6千人ほどの小ぶりな都市ですが、美しい風景に恵まれ、また文化的にレベルが高い感じを受けました。世界的に有名なジャズバンドや声楽家も県庁所在地の山形市を通り越して長井市でコンサートを開いたりすることがあるそうです。
以上、盛況のうちに、二日間の集いは閉会となりました。
メディア掲載
・山形新聞
https://www.yamagata-np.jp/news/202210/14/kj_2022101400340.php
本件に関するお問い合わせにつきましてはJAIPA事務局宛にご連絡いただきますようお願いいたします。
JAIPA事務局:info@jaipa.or.jp(@マークを半角にしてご利用ください。)